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地元客9割以上、夫婦で切り盛り 鎌倉の隠れ家的カフェ「クレインポート」1周年

御成通りから路地を入って進んだ先。看板を設置しているものの、右手奥で民家に挟まれているさらに奥のためとても分かりづらく、市川さんは「メディアにも発掘されない」と笑う

御成通りから路地を入って進んだ先。看板を設置しているものの、右手奥で民家に挟まれているさらに奥のためとても分かりづらく、市川さんは「メディアにも発掘されない」と笑う

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 鎌倉駅西口から徒歩3分という立地にありながら情報誌やガイドブック、ネットなどのメディアに一度も紹介されないまま、カフェ「クレインポート鎌倉」(鎌倉市御成町)が7月末、開店から1周年を迎えた。 

テラスでくつろぐ市川さん・リさん夫妻。二人の人柄に引かれて通う地元客も多い

 「これまで取材などは全く受けたことがなく、今や立派な『知る人ぞ知る店』になってしまった」と笑って振り返るのは店主の市川耕三さん。コーヒーやワイン、韓国家庭料理を提供する同店は昨年7月28日にオープンした。以来、口コミなどで評判が広がり客足は絶えないものの「観光客は1割弱で、地元の人がほとんど」だという。

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 このところ観光客が増えている御成通りにも近いが、「道路にも面していない上、民家と民家に挟まれている奥なので、まさかこんなところに店があるとは思わないのだろう」と分析。「ガイドブックに出ていない店を探しているマニアにはとても喜ばれる」とも。

 店は、長崎生まれでデザイン会社に務めていた市川さんと韓国生まれで米国の高校・大学を出た後来日し東京芸大大学院を卒業したリ・チュンヒョンさん夫妻が切り盛りしている。長く埼玉県に住んでいたが、何度か観光で訪れた鎌倉の文化や海の香りに引かれ12年前に転居。

 「人生の後半を考えた時、定年のある『会社』ではなく、2人でずっと続けられる飲食の『店』を選択した」という。たまたま見つかった物件は民家に挟まれた場所のコンテナハウスだったが、「身の丈に合った物件だった」と店舗に改装した。

 店舗面積は約30平方メートル。席数は店内13席、テラス10席。内装や家具などはポップで明るく、テラスはパステルブルーに統一。棚には趣味で集めたカメラや雑貨類も並び、BGMはジャズが流れる。店名は耕三さんの故郷の港が「鶴の港」と呼ばれることから命名した。

 着席するとデミタスカップで「本日のだし」を提供する。だしソムリエの資格を持つリさんが丁寧にダシを取り低塩分でしっかりうまみが感じられるメニューをそろえた。緑豆で作ったチヂミ、鎌倉野菜と「食べる削り節」のサラダ(800円)、ソーセージ盛り合わせ(1,000円)、自家製スモークベーコン(1,500円)、厚切り骨付きカルビの煮込み(2,000円)など。ドリンクは、コーヒー(400円~600円)、ビール、ワインの品ぞろえも豊富。

 ランチ(11時~15時)は、だしギョーザ、ビビン麺(900円)、ビビンパ、サムギョプサルピレート(以上、スンドゥブ付き、900円)、自家製焼豚のだし茶漬け、プルコギプレート(スンドゥブ付き、1,000円)、参鶏湯(1,300円)など。

 友人の紹介で来店しリピーターになったという谷本太一さんは「市川さんが入れるコーヒーやリさんが作る料理、2人の人柄にも引かれランチだけでなく夜も通ってしまう。情報誌などで紹介されていないのが不思議。観光シーズンで通りは大混雑していても、ここへ来ればホッとできる」と話す。

 市川さんは「引っ越して来てからの12年間より、この1年間にたくさんの出会いがあった。想像以上にクリエーティブな人も多く、さまざまなお客さま同士がここでつながっていくのがうれしい。皆さんにとって港のような存在でありたい」と話し、「鎌倉の路地を散策しながら探してみて」と観光客の来店も呼び掛ける。

 営業時間は、木曜~日曜=11時~21時、火曜・水曜=11時~18時。月曜、第2・4火曜定休。