鎌倉由比ガ浜海岸で7月18日、ゴミを拾った後に線香花火の動画をスマホで見て楽しむ「ビーチゴーミング&バーチャル線香花火大会」が開かれる。
合言葉は「清く楽しく美しく」。花火を最後まで楽しんで、終わった瞬間から周囲の観客のゴミを集めた(昨年の花火大会の様子)
企画したのは、会員制図書室「かまくら駅前蔵書室(通称カマゾウ)」(鎌倉市小町1)に集う会員有志。「鎌倉花火大会に合わせ毎年『ビーチゴーミング』をやっていたが、今年はオリンピック開催の影響で花火は中止。でも、何かできないかとみんなで考えていた」と、同施設代表の鈴木章夫さん。「事態は二転三転したが、面白いイベントになりそうで今からわくわくしている」と続ける。
ビーチゴーミングとは、花火大会が終わった後や翌朝に砂浜のゴミを「拾う」のではなく、花火が終わったと同時に周囲の観客からゴミを「集める」活動。「こちらから集めに行くと誰もが協力的で、本当はみんなゴミをきちんと捨てたいのだということが、3年やってみてよく分かった」と振り返る。
「せっかく続けてきたのだから、形を変えてでもゴミ拾いは続けよう」という意見と同時に、「花火は打ち上げられないけれど、みんなで線香花火をやったら楽しそう」というアイデアが出た。やはり花火大会が中止になった2011(平成23)年に、同海岸で鎮魂のための線香花火大会が開かれていた。
市役所に問い合わせると、今年はコロナ禍で海水浴場を開設しないため条例が変更され、花火やバーベキューなど火の使用を控えてほしいと回答があった。
「線香花火すらできないのかと肩を落としたが、それでめげないのが会員さんたち」と鈴木さんはほほ笑む。「いつもやっていたことができなくなってばかりでは寂しい。だったらルールを守りながら、何か新しいことをやろう」と前向きにアイデアを募った。
「一人一人のスマホの画面に線香花火の動画を映し出したら」という森崎清光さんの提案に、たまたま居合わせた会員らが「スマホを線香花火のようにつまんで持ったら、けっこうリアルかも」「音も楽しめる」「ゴミや灰、煙も一切出ない」「地球に優しい」などと盛り上がったという。
1本当り100円の日本製の線香花火を購入し、会員で動画撮影のプロとして活動を始めた小田切陽三さんが撮影した。1本の点火から消えるところまでを撮影したもののほか、色を加工したものなど数パターンを用意。参加者は、あらかじめスマホにダウンロードしておく。
当日は18時に海岸に集合し、ゴミ袋やトングを手に約1時間ゴミを拾う。用意したソフトドリンクを飲んで休憩した後、ソーシャルディスタンスを保ち、カウントダウンの掛け声で一斉に再生ボタンを押し「点火」する。
その後はダウンロードした動画を各自が再生し自由に楽しむ。最後に再び一斉に再生し、20時30分ごろ終了する。
「たぶん日本初、世界初の火を使わない線香花火大会。海岸にどんな風景が広がるのか楽しみ」と鈴木さん。「本当は一人でも多くの方に参加していただきたいが、今年はたくさん集まり過ぎてもいけないので、会員とその同伴者に限らせていただく」と言う。
ゴミ拾いのスタイルは例年と異なるが、名称は「ビーチゴーミング」を継続。「海岸にはどんなゴミが落ちているのか、どうしてこんなものが流れ着いたのかなどビーチコーミング感覚で楽しんでほしい」と呼び掛ける。
集合時間は18時~20時30分。雨天の場合は8月8日に延期。