鎌倉のカレーとシチュー専門店「銀座古川」(鎌倉市小町2)が7月8日、2周年を記念して「和風カレーつけ麺」(1,100円)を夏季限定でメニューに加えた。
帝国ホテルで36年間シェフを務めた故・古川喜春さんが2001(平成13)年、銀座に開いた洋食専門の同店。喜春さんが1年後に急逝してからは、同じく帝国ホテルに勤めていた長男の智久さんが引き継ぎ、2019年、鎌倉に移転した。
店舗面積も席数も銀座時代の3分の一となり、カレーとシチューをメインにメニューを絞り、キッチンは智久さんが一人で切り盛りし、母親で元タカラジェンヌの百合美さんがホールを担当している。
智久さんは「少しずつ地元の方に来店いただくようになり、いよいよこれからというタイミングでコロナ禍になった」と振り返る。売り上げが8割減と落ち込む中、テークアウトなどでしのぎ、時間ができたことから従来にないメニュー作りにも挑戦した。
「もともとラーメンが好きで、ラーメン評論家級の友人に指南を受けながら食べ歩くことも多い」という智久さんが考え出したのは「スープカレーラーメン」。同店の欧風カレーをベースに、チキンブイヨンを合わせたスープでスパイシーな味わいに仕上げ、昨年夏限定で提供したところ新規客が増え、常連にも好評だったという。
その後、「冷やしスープカレーラーメン」も提供。グランドメニューには加えることとはなかったが、「今年も夏が近づくに連れ、またラーメンが作りたくなった」と智久さん。イメージを膨らませながら、時間のあるときに試作を重ねたというメニューは「和風カレーつけ麺」だった。
麺は、智久さんがよく足を運ぶというラーメン店「トランポリン」(腰越)店主に「邦栄堂製麺所」(大町)を紹介してもらい、カレーがよく絡む平打ち多加水麺をオーダーした。ラーメンのようにスープが無い分、麺は1.5玉を提供する。
「昨年のラーメンも洋食屋には異質だったかもしれないが、今年はさらに『和風』の味付けにもこだわってみた」と智久さんは話す。付け汁は、日高昆布やかつお節のだしに京都産の魚粉を加え、同店の欧風カレーとバランスよく合わせた。通常のカレーと同じ鉄鍋で提供するため、なかなか冷めにくいのが特徴。
提供直前まで氷で締める麺の上には、自家製のカレーオイルをかけた鶏チャーシュー、オクラとチンゲンサイの煮浸し、素揚げのナスとパプリカ、味卵をトッピング。夏らしい爽やかな彩りを目指したという。「実は一つ一つ手間が掛かるため、混雑時に、定番もつけ麺もとオーダーが混在してくるとちょっと心配」と智久さんは笑う。
智久さんは「洋食屋だが、こうした冒険ができるのも、銀座での開店当初から引き継いできた、家庭ではできない古川のカレーというベースがあるからこそ。つけ麺をきっかけに、次は洋食メニューも食べていただければ」と期待を込める。
通常メニューは、カレーがチキン(1,100円)、ほうれん草(1,600円)、ポークカツ(1,700円)、シーフードクリーム(2,000円)、牛タン(2,500円)、海老フライとドライピラフクリームカレー添え(2600円)など。シチューは野菜(1,900円)、牛タン(2,500円)、和牛ビーフ(2,600円)、魚介類のクリームシチュー(3,200円)。肉料理は、ハンバーグステーキ シチューソースがけ(2,500円)、A4和牛サーロインステーキ200グラム(4,900円)など。
営業時間は11時~14時(土曜・日曜・祝日は11時~14時30分、前日までに予約の場合のみ17時~19時30分)。木曜定休。和風カレーつけ麺は7月末までの提供を予定している。