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遊牧民の祈り込めた毛織物キリム展 鎌倉の古美術ギャラリーで

布団などの日用品を収納して移動用に使ったマフラッシュパネルは代表的なキリム

布団などの日用品を収納して移動用に使ったマフラッシュパネルは代表的なキリム

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 「『祈りのかたち』酒井忠宣・遊牧民キリム&部族じゅうたんコレクション展」が10月26日から、鎌倉の古美術ギャラリー「Quadrivium Ostium(クアドリヴィウム オスティウム) 」(鎌倉市浄明寺)で開かれる。

キリムを手にして笑顔の酒井さん

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 イランやトルコなど西アジアや中央アジアのイスラム圏の遊牧民による平織りの毛織物キリム。テント内の敷物や間仕切り、移動用の収納袋など遊牧生活の必需品だが、独創的なデザインもあって欧米ではインテリアとしても利用されている。

 酒井忠宣さんは会社員だった30歳の頃、バーゲン会場で偶然見つけたキリムを衝動買いして以来、その魅力に取りつかれコレクターとなった。定年退職後には展示販売を始めたほか、イランの生産現場に足を運ぶなど本格的にキリムと向き合っているという。

 会場は、2021年に店主の黒田幸代さんがに鎌倉浄明寺の高台に開いたギャラリーで、ジャンルや時代を問わず世界中から集めた古美術品などを展示販売している。「天空に浮かぶギャラリー」と呼んだ客もおり、昨年は神奈川建築コンクール「優秀賞」を受賞したほか、メディアにも度々取り上げられている。

 今回の展示は、黒田さんが知人の紹介で知り合った酒井さんを2年前にギャラリーに招いたのがきっかけ。黒田さんは「私もキリムが好きだったこともあり、いつかここで展示を、と話していたことが、ようやく実現した」と振り返る。

 出品するのは、100年以上も前に作られたオールドキリムが中心。「婚礼など人生の節目や日々の祈りの際に敷物として用いられ、人々の精神に深く根付いたもの。近年は商業目的に生産されるものもあるが、今回は遊牧民が実際に使っていたものばかり。現存するものが少なく、どれも貴重な品」と黒田さん。「身近な動物や草木などの自然を取り入れたプリミティブな文様が織り込まれ、想像力豊かな生命の息吹を感じることができる」とも。

 「キリムにはパワーがある」と酒井さん。「遊牧民の誇り高い民族のアイデンティティーがプライドを込めて織り込まれていること、大切な家族への愛情や大切なものを守るための祈りが織り込まれていること、神への熱い信仰心が織り込まれていることを考えれば、パワーがあるのは当然なのかも」と続ける。28日、11月4日の14時~15時に酒井さんのトークショーも開く。

 黒田さんは「普段はなかなかお目にかかれない秘蔵コレクションを含め、酒井忠宣ワールド集大成ともいえる展示になるはず。部族の女性たちが育て面倒をみる家畜から原材料のウールを採取し、それを染めて丁寧に織り上げた作品に、遊牧民の心まで感じてほしい」と来場を呼びかける。

 営業時間は11時~17時。水曜定休。期間中は予約不要。11月7日まで。

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