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日本のサーフカルチャー草創期を紹介 鎌倉の海辺のギャラリーで企画展示

「レジェンドサーファー」と呼ばれる出川さん(左)とギャラリーを運営する森園さん

「レジェンドサーファー」と呼ばれる出川さん(左)とギャラリーを運営する森園さん

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 鎌倉在住のサーファー出川三千男さんを通してサーフィン草創期の文化を紹介する企画展示「Surf Culture Kamakura(サーフカルチャー鎌倉)1968」が4月27日、「UMIDORI GALLERY(うみどりギャラリー)」(鎌倉市坂ノ下)で始まる。

砂浜に降りる階段にサーフィンを見るギャラリーがあふれている1968(昭和43)年の七里ヶ浜

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  「レジェンドサーファーとして知られ、今も現役の出川さんと一緒に、1960年代の日本サーフカルチャーの草創期を立体的に紹介したい」と話すのは、同ギャラリー店主の森園尊生さん。海に面した掃き出し窓を開放した空間に、出川さんが所蔵している古い鎌倉の海辺の写真や映像、当時のサーフカルチャーを彩った雑誌や小物なども展示。「海を感じながら楽しめる」と続ける。

 出川さんは1950(昭和25)年に鎌倉稲村ヶ崎で生まれ、小学生の頃に木製のブギーボードで波乗りを始め、高校を卒業すると仲間と共にサーフボードショップを起業した。国内外のサーフィン大会に出場し、1971(昭和46)年の全日本大会で優勝。その後、日本プロサーフィン連盟(JPSA)の前進となる日本サーフィン連盟NPSAを発足した。

 森園さんが出川さんと出会ったのは小学生の頃。「出川さんが削ったサーフボードを使う父親に連れられて行った出川さんの店。そのお下がりのボードで中高生時代はサーフィンに夢中になっていた」と振り返る森園さん。社会人になってから、出川さんが経営する企業にも勤め、波情報を提供する仕事を通して気象予報士の資格を取得した。その後、独立して気象予報会社を設立、昨年、ギャラリーも開いた。

 出川さんから「古いフィルムなどを所蔵している」という話を聞いていた森園さんは2013(平成25)年、「写真で知る、昭和の日本サーフィン」と題したイベントを各地で開き、スライド投影しながら出川さんに講演してもらった。森園さんは「ギャラリーを開いたのを機に、講演だけでなく展示などもたっぷりできたらと温めていた企画」と話す。

 出川さんが所蔵する1960年代からの鎌倉の海辺やサーフシーンを記録しているフィルムから、今回初めてプリントする写真の展示や映像投影を行うほか、グッズなども展示する。

 森園さんは「当時生まれた文化が、今もファッションやアートにも影響を与え続けていることが分かるはず」と話し、「今でも語り継がれている1974(昭和49)年の大会『稲村インビテーション』(現在は稲村クラシック)の映像、ハワイのビーチやサーファーが映っている16ミリフィルムも展示する。今回は上映できないが、内容は在廊する出川さんから直接聞くことができる」と続ける。

 出川さんは「何の疑問も持たずに誰もが社会の歯車になっていった高度成長期に、自分はその流れに逆らい海へ向かってサーフィンに没頭した。それが今ではライフスタイルとしてサーフィンが認知され、オリンピックの正式種目にもなった。波を求めて世界中を旅してきたが、鎌倉は特別な場所。サーフカルチャーの歴史に触れてもらうと、改めて鎌倉の魅力も理解できるはず」と話す。

 森園さんは「映画『稲村ジェーン』(1990年公開)のモデルの一人ともいわれていて、当時を知るレジェンドサーファーと触れ合い、日本のサーフカルチャーがどのように生まれ現在に至り、ここから未来につながっていくのかを体感してほしい」と話し、「来場者と出川さんが楽しく過ごせる場をつくることを第一に考えている。貴重な写真や映像と同じくらい、出川三千男さんという存在も感じてもらえたら」と来場を呼びかける。

 入場無料。開催時間は11時~18時。4月27日15時から出川さんのトークとオープニングパーティー、5月5日16時からクロージングパーティーを開く(無料)。5月5日まで。

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