鎌倉材木座の光明寺(鎌倉市材木座6)開山堂で12月8日・9日、鎌倉アクターズワークショップ(鎌倉市台)の演劇「鎌倉三部作Vol.3『リトルボートストーリー 自由の船』」が上演される。
同作品を4月に富士見スタジオで公演した際の様子。改訂を経ていよいよ光明寺で公演する
2008年から鎌倉を拠点に、小学生から70代までのメンバーがオリジナルの芝居やミュージカルなどを上演している同劇団。代表で演出を担当する高森秀之さんは「今年も物語に登場する『鎌倉アカデミア』があった光明寺で公演できるのはうれしい」と話し、「昨年もたくさんの来場者がその意義を理解してくださり喜んでいただけた」と振り返る。
「鎌倉アカデミア」は終戦翌年の1946(昭和21)年、戦火を免れた鎌倉の同寺を校舎として開校した私立学校。後に映画や演劇、音楽界で活躍する人材を多く輩出したが、財政難からわずか4年半で廃校となり、今も「伝説の大学」と語り継がれている。
物語の舞台は、大船に松竹撮影所があったころから続く喫茶店「リトルボート」。アカデミアの影響で始まった朗読サークルで巻き起こるストーリーで、鎌倉に住む動物たちの世界と鎌倉時代の源実朝の夢をリンクさせながら進んでいく。昨年の続編となるが「前回を見ていなくても楽しめる作りになっている」と言う。
アカデミア一期生の加藤茂雄さんの特別出演も見どころ。鎌倉長谷出身の加藤さんは漁師の傍ら俳優としても活躍。黒澤明監督の「生きる」でデビューし同監督の「七人の侍」のほか、「ゴジラ」シリーズ、「日本のいちばん長い日」などの映画、テレビドラマなどにも多数出演している。昨年5月には書籍「茂さん~鎌倉長谷のむかしむかし~」を出版するなど、93歳になった今も元気で「最後のアカデミア卒業生」とも呼ばれている。
「いつの間にか場になじんでしまう自然体の演技は見事で勉強になることばかり」と稽古中の加藤さんついて語る高森さん。「映画でのこぼれ話なども聞き、メンバーにとっても貴重な時間になっている」と続ける。今回は「鎌倉アカデミアを伝える会」の平田恵美さんと小泉親昴も特別出演する。
昨年は客席がステージに向くスタンダードな会場設営だったが、今年は円形舞台を置き、360度客席が囲むスタイルにして来場者との一体感を生み出したいという。
高森さんは「70年以上も前に光明寺から出発したコミュニケーションと表現の文化の波を、その光明寺での演劇で感じていただければ」と来場を呼び掛ける。
開演は8日=16時、9日=13時。入場料は2,000円。予約・問い合わせは電話(080-4138-4701)かメール(k_actors@yahoo.co.jp)まで。